「地域のまとまり」から考える新しい地域創生

日本の行政は、国・都道府県・市区町村という階層的な仕組みで運営されております。しかし、この構造は必ずしも現場の実情や地域の実態に即しているとは言い難い側面がございます。特に、東北・北陸・関東といった「歴史的・文化的・地理的なまとまり」を持つ広域地域におきましては、複数の県にまたがる課題が存在しながらも、行政の枠組みにより分断され、調整が難しくなるという非効率性が顕著に見られます。

この構造的な非効率性は、住民生活や企業活動、観光・産業振興などにおいて機会損失を招き、地域全体の発展を阻んでおります。

行政構造が引き起こす非効率性の主な課題

1. 走り出したら止まれないトップダウン体制

施策は、国から都道府県へ、そして市区町村へと降りてまいりますが、現場で生じている課題や困りごとは、上位に対して十分にフィードバックされないことが多くございます。そのため、施策が一度動き始めますと、見直しや方向転換が難しい仕組みになっております。

また、この構造は行政内部だけではなく、民間に業務が委託される入札・プロポーザルの段階においても同様です。事業内容が上位計画から固定された状態で民間に降りてくるため、「現場に即した柔軟な提案」や「本質的な改善提案」が評価されにくく、結果として“決まっていることをこなすだけ”の受託構造が生まれております。

2. 不合理な行政界(特に県境)

行政区分は、必ずしも生活圏・経済圏・交通圏に対応しているわけではございません。そのため、隣接地域同士で協力すべき場面であっても、行政手続きや予算の枠組みが壁となり、連携が滞りやすくなります。本来の「地域としての自然なまとまり」が制度上は無視されていると言えます。

3. 「広報のプロフェッショナル」がいない

地域づくりには、土木、教育、福祉など様々な専門分野の人材が関わっていますが、情報発信やブランド設計を担う「広報」の専門人材は十分とは言えません。結果として、地域に良い取り組みがあっても、それが外部に伝わらず、地域の価値が正しく評価されないままとなっております。

4. 地域発展のビジョンが共有されていない

地域が「どのような未来を目指すのか」というビジョンが曖昧であると、行政・住民・企業が共通の方向性を持つことが難しくなります。計画書が存在しても、それが現場で生かされず「形だけ」となってしまうことも少なくありません。

民間の力で「地域」を一つの会社のように見立てるという考え方

これらの課題は、制度改革という政治的なプロセスによって解決できる側面もございますが、それには時間がかかります。一方で、民間企業は柔軟性とスピードを活かし、地域とともに実装を進めることが可能です。

私たちは、地域を「一つの会社」と見立て、地域の資源を活かした戦略づくりと運営支援を行っております。これを私たちは 「地域創生」 と定義しております。

  • 住民・行政・企業を“同じ組織のメンバー”として位置づける
  • 地域資源を“事業資産”として整理する
  • 共有できる未来像(ビジョン)を描き、広報・ブランドで支える
  • 行政依存ではない、持続可能な収益構造をつくる

地域を単位として「自律的に成長できる仕組み」を整えることが重要だと考えております。

結びに

行政そのものを否定するのではなく、現行制度と地域の実情との間には“構造的なズレ”が存在しているという認識が必要です。

地理的なまとまりを持つ広域地域をひとつの単位として捉え、民間の力を活かしながら運営視点で地域を育てていくことで、地域はより強く、持続的に発展していくことができると考えております。