地域創生の夜明け

地域創生の夜明け

本日、高市首相が所信表明演説を行い、その中で「地域創生」への新たな決意を示されました。長く続いた緊縮財政の時代から、積極財政への転換を明言されたことは、疲弊する地方にとって大きな転機となるものと感じております。

 思い返せば、この30年、日本の政策運営は「効率」と「費用対効果」を最優先にしてまいりました。その結果、地方の社会基盤が静かに、しかし確実に削がれていったことは否めません。

 たとえば交通分野では、採算性を理由に地方鉄道が次々と廃止されました。JR北海道では、1987年の発足当初に1,200駅以上あった駅のうち、すでに200以上が廃止され、路線延長も約10分の1が失われています。バス業界でも、自治体からの補助金削減が続き、運転士の平均年収は都市部の同業種と比べて100万円以上低い水準にとどまっています。人手不足により、路線維持そのものが困難となる地域も増えております。

 医療現場でも同様です。総務省の調査によりますと、2000年以降に全国で約450の公立・公的病院が統廃合され、特に人口5万人未満の自治体では医師数がこの20年間で約15%減少しました。緊縮財政のもとで「診療報酬の抑制」や「公立病院の再編」が進められ、結果的に医療空白地帯が拡大しております。

 教育現場でも、ICT教育や少人数学級のための予算が都市部に集中し、地方では老朽化した校舎の改修すらままならない例が多く見られます。

 また、ふるさと納税制度も、本来の「地域支援」という目的から乖離してしまった面があります。総務省の発表では、令和5年度の寄附総額約9,600億円のうち、およそ2割が返礼品業務を代行するコンサルティング企業などに手数料として流れたとされております。こうした構造のもとでは、真に支援を必要とする自治体が恩恵を受けにくいのが現状です。

 こうした「地方切り捨て型の緊縮政策」から脱却しようというのが、今回の積極財政への転換でございます。国が財政支出を通じて経済と生活基盤を立て直し、地方の潜在力を引き出すことが目的とされています。

 たとえば、赤字路線の維持を単なる「非効率」とみなすのではなく、地域住民の移動権や雇用を守るための「社会的投資」と捉え直す視点が求められます。医療・教育・エネルギーといった生活基盤への投資もまた、「成長のための支出」として再評価されるべき段階に来ております。

 積極財政とは、単に「お金を使う」ことではなく、「使うことで未来をつくる」という国家の意思の表明でございます。

 長年、数字の合理性のもとに後回しにされてきた地方の生活を立て直すことは、単なる経済政策ではなく、国のあり方そのものを問い直す営みです。

 “地域創生の夜明け”とは、財政の再分配を通じて、人々がもう一度ふるさとに希望を見出す社会を築くこと。

 その第一歩が、いまようやく始まろうとしております。